「給湯器の点検に関する案内が来たけど、しないとどうなるの?」
「そもそも点検は義務なの?」
長く使う給湯器だからこそ、安全に使うためには点検が推奨されていますが、義務付けられているかなどを気になっている方も多いのではないでしょうか。
実は給湯器の点検を装った詐欺被害も相次いでいるのです。
そこで今回は給湯器の点検における基本や詐欺に遭わないための対策などを解説します。
給湯器の点検で重要な法定点検とは
給湯器の点検において「法定点検」について理解しておく必要があります。
法定点検とは、経済産業省による制度の1つ「長期使用製品安全点検制度」に該当する制度です。
石油給湯器のような一部の給湯器が対象になっていて、長い期間使った給湯器に対し、経年劣化によるトラブルを防止する目的があります。
給湯器の寿命である耐用年数は、10年程度が目安になっているので、製造から9〜11年目に法定点検が実施されます。
具体的な点検内容は以下の通りです。
設置状況の問題
配管なども漏れ
機器の安全性(正常に作動するか) など
法定点検には、すでに決められた点検項目があり、40〜60分程度で点検が終了します。
給湯器の寿命目安が10年程度ですが、法定点検を実施したところ、不具合が見つかった際は買い替えによる給湯器本体の交換が推奨されているのです。
法定点検の必要性について
給湯器の法定点検するのは、前述でも触れたように大きな事故を防止するのが目的です。
石油給湯器のような特定保守製品には、標準使用期間が定められています。
10年の期間が定められていて、10年を超えても使い続けると大きな事故につながるリスクに対して注意喚起しているのです。
標準使用期間を過ぎた給湯器を使い続けた結果、火災や一酸化炭素中毒などが発生しています。
つまり給湯器の法定点検を実施するのは、給湯器を安全に使うために必要な点検なのです。
同時に給湯器を販売するメーカーも、製品を引き渡す際に法定点検の必要性を説明しなければいけません。
正確な情報を提供し、適切なタイミングで法定点検の通知を送るのも、販売者であるメーカーの責務でもあるのです。
メーカーによる点検との違いについて
リンナイやノーリツのようなメーカーは「あんしん点検(あんぜん点検)」と呼ばれる独自の制度を設けています。
どちらのメーカーも法定点検のタイミングに準じて点検を実施しているケースや、設置してからの経過年数に関係なく実施しています。
たとえば法定点検は石油給湯器のような一部の給湯器が対象になっていますが、あんしん点検はガス給湯器なども対象です。
法定点検もあんしん点検も有料による点検ですが、価格は点検を請け負う業者によって異なります。
点検費用が気になる方は、家庭で使っている給湯器のメーカーに問い合わせてみましょう。
給湯器における法定点検の流れ
給湯器の法定点検は、以下の流れで対応していきます。
販売者から説明を受ける
所有者登録を済ませる
法定点検の案内を待つ
法定点検を依頼する
当日立ち会う
順番に解説していきます。
❶販売者から説明を受ける
石油給湯器のような特定の給湯器を購入する際、販売者から標準使用期間や法定点検について説明を受けなければいけません。
説明内容の例を挙げると「標準使用期間が定められている理由」や「寿命が近づいたら注意すべき点」などの説明があります。
異臭や異音の発生リスクが高まるので、異変が見つかり次第、使用を禁止するような説明もあるので、注意深く説明を聞きましょう。
❷所有者登録を済ませる
給湯器の法定点検に該当する給湯器を購入する際は「所有者」としての登録が義務付けられています。
「名前」や「住所」などはメーカーとの登録情報として管理されます。
所有者登録のために、製品の中に入ったハガキに必要事項を記入したうえでポストに投函する流れが大半です。
たとえば給湯器の販売所によっては、ハガキをポストに投函せずに、その場で必要事項を記入するケースもあります。
当然、給湯器を登録したのがインターネットの場合、インターネット上で登録作業を完了させるケースもあるので、購入ルートの違いを把握しておきましょう。
❸法定点検の案内を待つ
前述で取り上げたように、給湯器の製造年数や経過年数の9〜11年を目処に、給湯器の販売者から法定点検に関する通知が届きます。
しかし給湯器の標準使用期間が10年なので、所有者情報を済ませていたのを忘れてしまっている可能性もあります。
「知らないところから点検の連絡が来た」と不安になるかも知れませんが、制度として定められた点検なので点検を受けるようにしましょう。
詳しくは後述しますが、給湯器の点検を装った詐欺被害も起きています。
具体的な被害例や対策などは本記事の後半で解説するので参考にしてください。
❹法定点検を依頼する
給湯器の法定点検に関する通知を受け取ったら、以下の方法で点検を申し込みます。
ハガキの返信
ホームページ
電話 など
上記、いずれかの方法で点検を申し込むのですが、当日は立ち会いが必須です。
自分が立ち会える日程で予約するようにしましょう。
注意点として、給湯器の法定点検には給湯器の製品番号に間違いがないか確認しておく必要があります。
製品番号は給湯器本体にシールで貼られているので、案内通知に記載された製品番号が間違っていなか確認しておきましょう。
❺当日立ち会う
給湯器の法定点検では、メーカーとの提携会社や子会社などの専門業者が対応します。
そもそも給湯器の法定点検には「点検員資格制度」として任せられた資格を保有していなければ、法定点検を実施できません。
安心できる業者か不安な方は、資格を保有しているか確認しておきましょう。
当日の立ち会いが終了すると、法定点検を担当した業者から「適合」か「不適合」の判定があります。
どちらの結果になっても「今後どうすればいいのか」説明があるので、聞き流しせずに不明点や不安要素を解決していきましょう。
【詐欺に注意!】給湯器の点検商法とは
給湯器の設置から9〜11年を目処に通知が届く法定点検なので、言わば「忘れた頃に届く通知」とも言えます。
実は悪徳業者の多くが点検を口実に、給湯器を設置している家庭に訪問し、高額な請求をする手口を点検商法と呼ばれています。
給湯器の点検を装った詐欺の手口で、不安をあおるような言葉を並べています。
よくある手口
❶「給湯器の無料点検で地域を回っています」
❷「〇〇市から依頼を受けて来ました」
❸「給湯器メーカーの代理店です」
上記のように、ありそうな話を悪徳業者は持ち込んできます。
電話や直接訪問など手口は決まっていないので、最善の注意が必要です。
「いい人そうだから、つい家に入れてしまった」などの被害も発生しています。
給湯器の点検を装った詐欺被害が起きているのも「このままでは火災などの被害につながる」と不安をあおっているのも理由の1つです。
「今契約してくれたら安く給湯器を交換します」と言っておきながら、最終的には相場よりも高額な金額を請求した被害が相次いでいます。
政府や自治体に寄せられた相談
独立法人国民センターの情報によると、全国の消費生活センターに寄せられた給湯器の点検に関する相談が相次いだ事態に注意喚起しています。
2022年度と2023年度を比較すると、約2倍の相談件数になっていて、多くが前述で紹介したような「〇〇市から依頼を受けて来ました」や「給湯器メーカーの代理店です」と話したようです。
2018年度:206件
2019年度:241件
2020年度:245件
2021年度:335件
2022年度:561件
2023年度:1,099件
中でも詐欺被害に遭った方の7割以上が70歳以上の方を狙った被害でした。
給湯器の点検詐欺に騙されないための対処法
出典:独立法人国民センター
前提として給湯器メーカーは、給湯器の所有者から点検の申し込みがない限り、点検を実施しません。
悪質な業者は、メーカーを装ってお客様に接触します。当社は、お客様からのお申し込みがない限り、点検や修理を実施することはありません。不審に思われたときは、対応しないでください。 引用元:リンナイ「悪質な点検・修理業者にご注意ください」(参照:2024-04-30)
当社の関連会社や業務委託による訪問点検、修理・部品交換の際は、事前連絡による訪問を原則としており、お客さま宅に突然訪問するようなことはいたしておりません。お客さまにおかれましては、このような業者には、くれぐれもご注意いただくようお願い申し上げます。 引用元:ノーリツ「定期点検を装った交換部品の訪問販売にご注意ください」(参照:2024-04-30)
給湯器メーカーも上記のように注意喚起しています。
「悪徳業者かどうかの判断は難しい」や「結局どうしたらいいかわかならい」と感じたら、すぐに消費者ホットラインである「188」に連絡しましょう。
クーリング・オフ制度の活用
「つい新しい給湯器の交換を依頼してしまった」
そのような状況になってしまった場合、クーリング・オフ制度が活用できる可能性があります。
クーリング・オフ制度は、契約書面が交付されてから8日以内の場合が適用です。
契約を無条件で解除できる可能性があるので、気になる方はお住まいの自治体に相談しましょう。
まとめ|給湯器の点検はガス会社かメーカーへ依頼しよう!
今回は給湯器の点検において重要な法定点検の重要性や、実施に起きている詐欺被害などを取り上げました。
給湯器の法定点検は、石油給湯器のような一部の給湯器が対象になるので、制度により点検が義務付けられています。
しかし給湯器の点検を装った詐欺被害も相次いでいるので、注意しておかなければいけません。
心配になるものですが、自分で判断せずに自治体に相談して対処していきましょう。
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